点字通信17号 群馬県立盲学校 点字係                                     令和7年7月8日(火)発行 「触ってわかる!~硬貨編~」  触ってわかる!お金シリーズの第3弾、最終回は硬貨編です。 実は視覚障がい者として生活している中で、お札よりも硬貨の方が「なぜわかるの?」と聞かれることが多いです。お財布の中から指先でつまむだけで必要な硬貨を選び出しているからでしょうか。どうやって硬貨を指先で触り分けているのか、秘密を大公開です!  1.触り心地による判別方法 硬貨の見分けには6つのポイントがあります。  (1)中心の穴  これによって5円玉と50円玉は簡単に見分けがつきます。50円玉は4mm、5円玉は5mmで、つまんだ時の穴のサイズ感で50円玉と5円玉の判別も可能です。この穴は視覚障がい者が見分けやすいようにという配慮でもあるそうです。  (2)刻印された模様の凹凸の感触  100円玉と50円玉は他の硬貨よりも模様の凹凸が大きく、つまんだだけで判別できることが多いです。  (3)硬貨の重量  硬貨の重量は1円玉が1g、500円玉が7g、他は4g前後です。1円玉は軽いなと感じます。  (4)硬貨の直径  硬貨の直径は小さい順に、1円玉は20mm、50円玉は21mm、5円玉は22mm、100円玉は22.6mm、10円玉は23.5mm、500円玉は26.5mmです。500円玉以外は大きな差は感じません。  (5)縁の感触  1円玉、5円玉、10円玉の縁は直角でとがっているように感じるのに対し、50円玉と100円玉は少し丸みを帯びて感じます。また、 50円玉、100円玉、500円玉の縁にはギザギザがあります。つまんだ時の感触だけでは不安な場合にこのギザギザを確認します。10円玉にもギザギザがついているものがありますが、昭和20年代以前のものなのでギザギザが薄くなっていることが多いです。  (6)硬貨の厚さ  硬貨の厚さは1円玉、5円玉、10円玉が1.5mm、50円玉、100円玉が1.7mm、500円玉が1.8mmです。コピー用紙の厚さが約0.1mmなので、10円以下と50円以上の硬貨では2枚分くらいの厚さの差があります。この厚さの差はつまんだ時に薄いな、厚いなと感じ取ることができます。  以上の6つのポイントによってつまむだけである程度の判別ができます。不安な場合には硬貨を重ね合わせてサイズで最終確認をします。  2.見分けやすくするお財布の使い方  硬貨種別ごとに収納するホルダーつきのお財布もありますが、硬貨を入れる部分が2つに区切られているお財布であれば触り分けは簡単です。10円以下と50円以上の硬貨で仕分ければ、穴のない硬貨も比較的サイズ差が生じるので、つまみ心地だけで判別が付きやすくなるのです。  いかがでしたか?これであなたも触り分けマスターです!