点字通信(since 2016)

点字通信9号

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点字通信第9号

                               点字通信9号   

                                      群馬県立盲学校 点字係

                                      令和5年11月1日(水)発行

 

点字の日 校内放送より

~点字投票について~

 

 11月1日は何の日かご存じですか?答えは日本の点字が誕生した日です。1890年の今日、我が国の点字は生まれました。

 今日は少しの間、点字にまつわるお話をさせていただきたいと思います。

 ところで、今年の7月23日に群馬県で何が行われたか知っている人はいますか?答えは群馬県知事選挙です。私(新楽)も点字で期日前投票をしてきました。この時間は、点字投票についてお話します。

 1925年、世界で初めて点字による投票が行われました。どこの国だと思いますか?答えは、なんと私たちが住む日本です。フランスのルイ・ブライユが世界で初めて点字を考案したのが1825年。それから100年が経過してもフランスで認められていなかった点字投票を、点字誕生からわずか35年で実現にこぎつけたというのは、本当にすごいことだと思います。

 この活動の中心にいたのが、点字投票の父と言われる長﨑照義です。

 長﨑照義は1903年、愛知県の貧しい農家に生まれました。彼は6歳のときに不慮の事故にあいます。暴れ馬から逃げようとしたときに土手を転げ落ち、目に傷を負ってしまい、その傷から感染症にかかり、視力が徐々に低下する進行性の弱視になってしまいました。

 彼は尋常小学校を5年生のときに中退し、印刷所で働いた後、15歳で鍼灸あんまの師匠に師事し、住み込みで修業を始めます。

そして、彼は18歳から大学の通信講座で文学と政治経済を学びます。ここでの経験が彼を突き動かしたようです。

 1923年、はたちの秋に照義は、視覚障害のある仲間たちとともに、点字投票を求める運動を始めることを決意します。

 そして、当時、普通選挙運動をけん引していた政治家の尾崎行雄に、点字投票の必要性を直談判します。

 そのような活動が実を結び、活動開始からわずか2年の1925年に実現にこぎつけました。

 今では点字投票に加え、代理投票も制度として認められています。

 投票所に行けば、点字機が準備されているだけでなく、候補者氏名や所属する政党なども点字で読むことができます。また、投票日数日前からは、候補者に関する情報も点字で読むことができます。

 このように、現在では点字使用者でも安心して投票ができるようになりました。

 18歳を過ぎたら投票に行く。これは、ごく当たり前のことです。しかし、その当たり前の裏には、先人たちのたゆまぬ努力がありました。今日、11月1日は、そんなことを少し思い浮かべながら過ごしていただけると嬉しいです。

 

第19回六星祭 点字コーナーのおしらせ

 

 第19回六星祭では、北校舎1階の第2プレイルームが点字コーナーとなります。

 点字コーナーには、点字の歴史や表記について学べるだけでなく、ブレイルメモスマート air32など、最新点字機器に触れることができます。また、点字を書く・読む・点図を触る・レーズライターを使うなど、生徒による実演や体験できるコーナーがあります。それぞれの展示物については担当のスタッフ(児童生徒・職員)が説明いたしますので、お気軽にお声がけください。

 また、点字コンテストも開催されます。これは、2分間に書いた「メ(点字)」の数を競うコンテストです。参加者には可愛らしい点図が描かれたしおりをプレゼント!上位3名には景品もあります!

 そのほか、資料室では昔の点字器や点字資料(凸字聖書)などがあります。

本校の展示室は、他県の盲学校の先生も見学に来るほど、貴重な物がたくさんあります。

 点字について知りたい、興味がある、読んでみたい、書いてみたい、点字機器を見てみたい、使ってみたいという方、ぜひこの機会に点字コーナーに足を運んでみてください。

皆さんのご来場をお待ちしています。