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点字通信 第16号
点字通信 第16号
令和7年6月2日(月)発行
今回の点字通信は、先生方から寄せられた、視覚障害者の日常生活に関するQ&Aでお送りいたします。普段の生活で「あれ? どうしているのかな?」という疑問に対する答えや、ちょっとした工夫などをお伝えします。
1 爪の手入れはどうしているの?
指先に当たる感覚を生かせば、爪切りを使って切ることができます。爪切りの先端がつま先に強く当たっているようであれば、深く挟み過ぎです。できるだけ浅く入れ、長めに切って、最後はやすりで整えるほうがよいです。
また、刃物が当たるのが怖ければ、最初からやすりで整える方法もあります。最近では電動の爪やすりも販売されていますので、便利な道具を上手に使いたいものです。
爪は、深く切りすぎると巻き爪等の原因にもなり、指先が痛くなったり、余計に爪が切りづらくなるので、注意が必要です。
2 そうじをする時のポイントはある?
掃除は、できるだけ基準になるものを中心に行います。例えば、教室の壁に沿って縦に掃除機をかけたら、次は一歩ずれて逆に戻るというような具合です。 また、机の拭き掃除等では、事前に落ちそうな物がないか確認してから行うとよいです。
ただし、やはりどうしても、見えない中でまっすぐ往復するのは難しいので、掃き残しや拭き残しが出てしまいます。気になる場合は、適宜他の人の目を借りるとよいと思います。
3 料理をするには?
①切る
左手をネコの手の形に添えるというのが一般的です。しかし、野菜の厚さや長さを均等にしたい場合は、あえて指先を出し、切っている野菜に当てて、指で確認する方法もあります。また、左手の親指を包丁と平行に沿わせ、包丁の刃が垂直になっているか確認することもあります。
スライサーやフードプロセッサーなどの道具を活用したり、簡便なカット野菜や冷凍野菜を使うのもオススメです。
②煮る・焼く
味噌汁など汁物の水加減は、汁椀に水を入れ、1杯、2杯……と数えると便利です。
また、煮物では、落とし蓋を使うとまんべんなく火が通り、具材に味がしみます。
魚や肉を焼く場合は、最初強火で表面を焼いた後は、少量の水か酒を加えて蓋をし、蒸し焼きにすることで、中までしっかり火が通り、かつ表面が焦げにくくなるのでオススメです。
③混ぜる
シチューやカレー、野菜炒めなど、鍋やフライパン内の具材を混ぜる場合は、鍋の縁に沿って、下からすくうと、こぼさずにまんべんなく混ぜることができます。
菜箸や金属お玉など、先の長い調理器具は感覚がつかみづらい上、金属同士がこすれる音が苦手な人もいると思います。そこで便利なのが、木べらや木しゃもじです。特に木しゃもじは柄が短いため、手で感覚がつかみやすいです。また、菜箸が長すぎてつかみづらい場合は、少し短めの「取り分け箸」を使うとよいです。
まとめ
便利な道具を使ったり、感覚を生かしたりしてできることはたくさんあります。書籍やホームページ等に、他にもいろいろと紹介されているので、この機に調べてみるのも面白いと思います。また、これらの道具を有効に使うには、日頃から、いろいろな物に触れたり、作業に取り組んだりすることが必要です。日々の指導で、生徒一人一人に活動の場面を多く取り入れていただけたらと思います。