2021年4月の記事一覧
点字・情報通信 ホームページ版 第2号
発行:点字・情報研究係
点字の技能に関する資格試験
皆さんは、点字の技能に関する資格試験があるのをご存知ですか?
現在、日本国内で実施されている点字の技能に関する資格試験は2種類です。
(1)点字指導員資格認定講習会
(2)点字技能検定試験
ともに日本盲人社会福祉施設協議会が主催していますが、運営は(1)は情報サービス部会、(2)は社内検定試験実務委員会です。
(1)は1981年から始まりました。隔年開催で、偶数年が資格認定、奇数年は指導員資格保持者対象の研修会です。
資格認定のためには、まず事前に課題文(点訳・校正問題)を提出、その審査に通ると受講資格を得られます。3日間の全講義に出席した人のうち最終日の点訳・校正問題の試験(2時間半)の合格者には認定証書が交付されます。受講料は13,000円です。
(2)は2001年から始まりました。毎年11月中旬ごろ、東京をはじめとする4会場で実施されます。資格認定のためには、点字で書かれている選択式の学科試験(障害者福祉、視覚障害児教育等)と点字技能試験(点訳・校正問題)の2種類があります。学科と実技のいずれかに合格した人は一部合格者台帳に登録され、次回受験の際、合格科目の試験が免除されます。合格者には「点字技能師」の資格が与えられます。受験料は15,000円です。こちらは国家資格をめざしていますが、受験者数が3桁に届かないため、今のところ社内検定という形になっています。この試験合格を目指す人のために、毎年8月ごろ「点字技能チャレンジ講習会」が2日間開催されています。
両試験とも、実技は点字器と点字タイプライタ―で行われており、点字技能師資格を持っている人は、(1)の課題文提出は免除されます。
(1)には、講義があり、研修要素がありますが、(2)にはありません。また、(2)の試験は参考書の使用は可能ですが、(2)は不可です。そのほかいくつかの違いがありますので、詳細を知りたい方は、各HPまたは視覚障害No.306「点字に関する資格制度の推移と今後」をご参照ください。
今年度、(1)の講習会に本校から3名の先生が、見事、事前の課題文審査を通過して、自主研修で参加しました。
参加者のうちの本校職員Aの体験談をご紹介します。
「点字指導員講習会で学んだこと」 8月末に3日間、職員B、Cと共に岐阜まで点字指導員講習会に参加するために、片道6時間ドライブを決行してきました。運転してくれたC先生、ありがとうございました。そこで行われた講義のうち、「パソコン点訳の指導ポイント」で教わったことで、私が個人的に知ることができてよかったと感じたことを述べたいと思います。 1つめは、6点入力可能なパソコンの見分け方です。メモ帳を開いて、ホームポジションで左右の人差し指から薬指までの6つのキーを同時に押します。これでメモ帳上にすべてのキーが順不同で入力されれば、6点入力が可能です。生徒がパソコンで6点入力を希望した時などに活用できる知識だと、パソコン好きな私は大いに喜びました。 2つめは、点訳者が使用している点訳検索システムです。「点訳ナビゲーター」と「鍼灸・医学用語の点訳・音訳辞書システム」の2つです。帰宅後、両方とも使用してみましたが、点訳ナビゲーターは点字に関する能力の低さが災いしてか、使用方法がよくわかりませんでした。点字図書館などの蔵書のための点訳を行う方向けのシステムのようなので、盲学校内ではあまり活躍しないかもしれません。「鍼灸・医学用語の点訳・音訳辞書システム」はなかなか使えそうです。専攻科の先生は、東洋・西洋にかかわらず、医学関係のワードの点訳についてはバッチリになれる、かもしれません。両者とも、音声パソコン対応のwebページなので、全盲の先生もご活用いただけると思います。 3つめは、点訳の練習には、不要になってしまう資料ではなく、誰かが使用する資料を用いることが望ましいということです。これを誰かが読んでくれる、と考えながら点訳をすれば、自然と完成度を高める気持ちがわいてくるものです。みなさん、かわいい生徒へ愛をこめたお手紙など書いてみてはいかがでしょうか? 他にもいろいろと学ばせていただきましたが、盲学校内で活用できそうなことを挙げてみました。少しでもみなさまの点訳のお役に立つことが出来れば光栄です。 |